ブロック肉を自分で加工できるようになれば、
美味しいお肉が安く買えます。
家庭で薄切り肉は無理、
ひき肉は機械が無いとできない。
そう思っていませんか?
包丁があれば家庭でもできます。
覚えてしまえばそんなに難しくはありません。
ぜひ、チャレンジしてみましょう。
もくじ
ブロック肉の選び方|覚えて。4つのポイント
これは、ブロックの肉を選ぶときに毎回お伝えしていることですが、
美味しい肉をお得に選ぶために、4つのポイントを押さえましょう。
- 真空がしっかりしたもの
- 賞味期限の長いもの
- 脂の少ないもの
- 肉質の良いもの
1.真空がしっかりしたものを選ぶ | ブロック肉の選び方のポイント
まずは、しっかりと真空されているものを選ぶことです。
これは、鮮度を左右するので、最優先ポイントです。
大きなブロックを安く買ってきても、
腐ってしまっては、高くついてしまいます。
真空の袋は輸送に耐えられる様に厚手のビニールで出来ています。
そして、口の部分は熱で密着させています。
口を熱でくっつける際、袋が重なっていたり、
熱がうまく伝わっていなかったりすると
うまく密着できません。
パックの口の部分を見て、漏れそうな兆候が無いか確認しましょう。
口のあたりの空気の塊があるようなら要注意です。
いきなりドリップ(肉汁)が漏れる事はまれで、
その場合には、かなり大きな穴が開いているはずです。
ドリップは流れ無いけれども、
空気は入ることが出来る穴を「気泡」で見つけます。
多少の空気はパックの中に存在しますので、
細かい少しの気泡は問題ありませんが、
パックの表面になるべく気泡のないものを選びましょう。
2.賞味期限の長いもの | ブロック肉の選び方のポイント
買い物をする際には、賞味期限を気にされてはいると思います。
真空パックされたブロック肉を買う際には、
特に長めのものを選ぶようにしたいところです。
(販売店としては、なるべく期限の短いものから販売したいので、
「もっと期限の長いものが欲しい」と言うと嫌な顔をされるかも)
精肉店の冷蔵庫の中は
精肉店の冷蔵庫は、人が入れる程大きいものもあります。
入口に扇風機が付いていて(エアカーテン)、
冷気を逃がさない工夫がされています。
開閉によって温度も変化しにくく、
更に冷蔵庫の中で、段ボールで保管されているので、
低い温度をキープしています。
しかし、家庭用の冷蔵庫は、業務用の冷蔵庫と比べて温度が高く、
しかも度重なる開閉で、肉も外気に直接あたります。
肉の保存にとって想像以上に環境が悪いのです。
賞味期限が近いとどうなるか
真空状態であったとしても、どんどん劣化は進んでいます。
真空パックは肉の劣化を遅くしているに過ぎません。
蒸れた臭い
真空パックの中で劣化したものは、「蒸れた様な臭い」になります。
(この蒸れた臭いは牛肉・豚肉・鶏肉、
それぞれ感じ方が異なりますが、どれでもなります。)
「蒸れた」と言う表現が難しいですが、肉の臭いとは異なり、
若干鼻の奥を刺激する臭いとでも言うのでしょうか。
(経験で分かる様になります。)
この「蒸れた臭い」は、真空パックを開けて、
肉と、真空パックの内側が、
大きく空気に触れた瞬間が一番分かりやすいです。
嫌な方もいらっしゃるかも分かりませんが、
鮮度確認のために、開けた瞬間の臭いの確認をする事をお勧めします。
さて、この「蒸れた臭い」ですが、
- 鮮度が良ければ臭いはしません。
- 少しの劣化は「蒸れた臭い」がしても消えます。(家庭の冷蔵庫では起こりえる)
- 大きな劣化は「蒸れた臭い」が消えません。(買って来て直ぐになったら返品レベル)
という特徴があります。
ぬめり
真空パックを開け臭いの確認の後、
- 肉汁(ドリップ)を垂らした時「糸を引く」ことはないかを確認
この段階で肉汁(ドリップ)が「糸を引く」ようであれば要注意です。
(はちみつや水あめを薄めた感じ)
そして、直接肉を触ったとき、
「ぬめり」を感じるか確認。
この「ぬめり」の感触は、肉汁(ドリップ)は、
水では無いので、少しは「ヌルっと」は感じます。
「ぬめり」の良い状態と、悪い状態の違いは、
指と指でこすり合わせたとき、
- いつまでもヌルヌルしているか
- ちゃんと、指が「キュッ」と止まるか
この違いで感じます。
「ぬめり」と「蒸れたような臭い」は、賞味期限が近くなると強くなる傾向があります。
家庭での保存のポイント
通常、精肉の流通は、
- 問屋さんから冷蔵庫の付いたトラックで運びます。
- 急いで精肉店の冷蔵庫に入れられます。
- 加工されお客様の元へ
- レジを通り家庭へ
- 冷蔵庫に入れて
- 冷蔵庫から出して調理
温度が大きく上がるのが4、5、6です。
この期間の劣化を極力抑えましょう。
保存の理想形
4.家庭に持ち帰る
5.すぐに冷凍庫に(凍らないぎりぎりまで冷凍)
6.カットして→小分け→冷凍庫に
これを実践すれば、劣化が最大限抑えられます。
このひと手間で、お得に安全に美味しくお肉を食べられます。
3.脂肪の少ないものを選ぶ | ブロック肉の選び方のポイント
折角ブロックで安く買っても、脂肪を削って沢山捨ててしまっては、
単価としては高くなってしまいます。
(脂肪を削り取って冷凍しておき、野菜炒めの脂などに使えますが、
お肉屋さんに「脂を売って」と言えば、100グラムあたり10円~50円程度で、
販売してくれると思うので、もし野菜炒めの油代わりにしたいのであれば、
ブロック肉を使うよりも、脂身を買った方が安いです)
そのため脂肪がなるべく少ない個体を選ぶ必要があります。
脂肪の厚さは、見た目では中々判断できません。
では、どうするのかと言うと、「触る」事で判断します。
白い脂肪の部分を押して固くないものを選びましょう。
どの様に押すのか?
- 爪で押したりしない様に、指の腹で押しましょう。
- 1本指でつつくよりは、3本指か4本指でグイっと押します。
- 一か所を押すのではなく全体的に、場所を変えながら押してみます。
固さが異なるのがわかるでしょうか。
その固いところが脂肪の厚い所です。
- 他の個体と比較してなるべく柔らかいものを選ぶようにします。
押す時の注意点としては、爪を立てない様にします。
真空を破ってしまったり、肉に痕が残ってしまいます。
冷蔵庫や室内の温度は高くないか?
難しいポイントではありますが、脂肪は温度が高いと柔らかく感じます。
真空の状態とはいえ、温度が高い状態にあるという事は、
傷むのも早くなります。
- 柔らかいのが、温度の為ではないことを確認しましょう。
部位ごとの見るべきポイント
肉も色々種類があるので、
「どこを見ていいのか判らないよ。」という事なので、
部位や種類ごとにお伝えしたいと思います。
豚肉
始めに一般的に販売されている、価格の順番を簡単に説明します。
高価 → 安価
ひれ → ロース → 肩ロース → もも → うで(肩肉)
国産豚と輸入豚を比べると部位にもよりますが、
国産豚の方が、2倍近く大きいです
肉質が国産の方が良く感じます。
旨味も国産の方が強く、
塩で食べ比べると違いが良く分かります。
・豚ロース(リブロース)
真空で販売されている、断面の大きい方です。
ブロック断面が楕円形になってますね。
断面に模様があり、間(あいだ)に脂肪が入っているところが「リブロース」と言います。
サイズとしては、個体差はありますが、
国産豚なら15cm程度、輸入豚なら10cm程度でしょう。
ロース全体(国産で1本約4kg)の端から手のひら一枚分とすると分かりやすいです。
このリブロースは、とんかつや生姜焼きにすると美味しいです。
しかし、間(あいだ)に脂が入っているため、外側の脂を減らさないと、
料理をした時に脂っこくなります。
ですから、「とんかつ」なら、
リブロースの外側の脂肪は、「全部除去」、
生姜焼きなら、「少し残す」程度が良いと思います。
特に国産豚の場合は、リブロースの間(あいだ)の脂肪が厚いことが多く、
断面でも間の脂肪を確認して厚い様であれば避けましょう。
逆に輸入豚は、間(あいだ)の脂肪も、表面の脂肪も少ない傾向があります。
・豚ロース(ひれ下(した))
背骨の両サイドの肉です。
背油(せあぶら)がとれます。
柔らかな部位なので、とんかつ、とんテキ、生姜焼きなどに使えます。
また、薄く切れば、しゃぶしゃぶ、鍋物などにもできます。
脂肪分が少ないので、パサつき気味にはなるものの、
もも肉ほどではないです。
(もも肉も、加熱し過ぎなければパサつきも軽減できます。)
冷めても柔らかいので、お弁当に入れることも多いです。
そして、反対側を「ヒレ下ロース」と呼ぶんだりします。
脂肪の質も良くて味も良い。
見るべきポイントは、
- リブロースとの境目の脂肪
- リブロースとは反対側の端の脂肪
- 肉側の模様がデコボコしている側の脂肪
ここの脂肪が厚いことが多いです。
・豚肩ロース
肩ロースも便利な部位で、
とんかつや焼肉、煮込みと何にでも使える便利な部位です。
肩ロースのポイントは、
ロースと比べ、肉の間に脂肪分が多いので、
表面の脂肪は、少しだけ残すイメージです。
ですから、細長く付いている脂肪の、
なるべく少ないものを選ぶのが良いでしょう。
また、先ほどのリブロースと同じ模様の側が柔らかく、
反対側が硬めになります。
硬めの方を「ネック(首)側」なんて呼びますが、
特に国産の場合は、そちら側が血管等の汚れが目立つなら、
少ないものを選ぶのもありです。
ひき肉以外に使い道がなく、家庭では使いにくいからです。
輸入豚では、割ときれいな物が多い傾向にあります。
・豚ばら(バラ)肉
全体的に脂肪が多いが、旨味も強い部位です。
部位で味が違うという事が、はっきりと分かるのがバラ肉です。
デコボコしているところは、あばら骨を除去した後です。
縦に長く見たとき、デコボコが多い方が「ウチバラ」。
デコボコが無い方が「ソトバラ」と呼びます。
(牛肉ではこの呼び方をしますが、豚肉でこの名前で呼ぶかは不明です。)
ソトバラ側は焼き肉や角煮などに使えます。
ウチバラ側は脂が多いので薄切りにして、
鍋物や煮物などに使えます。
バラ肉の脂肪の見方としては、
バラ肉全部を持って軽く折り曲げるイメージです。
脂肪が多いものは全体的に硬く、曲げようとしても
曲げにくいです。
逆に脂肪の少ないものは、無理に曲げなくても、
自身の重さで、折れ曲がるほど柔らかいです。
何枚か選べるのであれば、
個体差を感じられるはずです。
本当にラッキーな個体に出会えれば、
脂肪の多いウチバラでも、
焼き肉や角煮にも使えるものもあります。
・豚ひれ肉
ひれ肉は脂肪分はほとんど無いので、
選択肢は表面がキレイで好みのサイズ感であればよいでしょう。
表面の白いものは筋(すじ)なので除去します。
取らなくても、気にはなりますが食べられます。
**ここから先の「豚肉もも」「豚うで」ですが、
流通では10kg以上の真空になっています。
通常精肉店では、薄切りや細切れ、ひき肉などに、
加工して小売りします。
その中でも、ブロックとして販売されているようなものを
ピックアップしてお伝えします。
・豚もも(うちもも)
脂肪が少なく、とんかつやソテー、カレー用にします。
表面に甘皮がついているので除去します。
取らなくても食べられますが、
硬い筋が付いていたり、乾燥して硬いこともあるので
取った方が気にならずに食べられます。
ブロックのまま並んでいることはあまり見かけません。
栗みたいな形をしていますが、
その先端側の肉質は硬めです。
選び方では、見た目で脂肪の少ないものを選ぶと良いでしょう。
・もも(しんたま)
部分的に脂肪分がある部位です。
煮豚に使われることが多いので、
網に包まれて販売されているのは、もも肉のなかでは、
もも肉(しんたま)や次に出てくる、
もも肉(なかにく)である事が多いです。
(肩ロースもよく煮豚用として販売されます。間違えない様にしましょう。
肩ロースの方が肉質も脂肪の質も上です。単価も上ですが美味しいです。
食べたときのイメージでは、パサパサ感じるのがもも肉で作ってあることが多いです。)
お店で並んでいるのは断面を見せているものが多く、
側面の見えている脂肪の少ないものを選びましょう。
・もも(なかにく)(そともも)
大きく、単体での真空はあまり流通しないので、
真空パックで小売りされている事は珍しいと思います。
筋などを取る部分も多く、表面の脂肪分も多いので、
家庭では使いにくい部位だと思います。
肉質は半分位は硬く、焼き肉にして、
硬くなる豚肉のイメージの主役です。
冷めた時、水分が抜けたように特に硬く感じます。
使い道としては、脂肪を除去すれば、
ヘルシー志向の赤身メニューとして、すき焼き、カレー用、
部分的に、煮豚、焼き肉に使えます。
ブロック肉として、店頭に並んでいるのは見たことがありませんが、
選び方としては、ロースと同様に指で押さえてみる。
脂肪部分があまり、硬くないものを選ぶ。
(もも肉に関しては、ダラッとした肉も多く
脂の厚さを判断するのに、経験がひつようです。
もし選ぶことがあるときは、
店員さんに聞くのが早いかもしれません。)
・肩肉(うで)
「肩肉」から「肩ロース」を外したものを「うで」と呼びます。
大きいので店頭に並んでいるのは中々見ません。
多くの精肉店では、「切り落とし」「こまぎれ」などの、
薄切り肉にして売られることが多い部位です。
脂肪分もそこそこあるので、
4.肉質の良いものを選ぶ | ブロック肉の選び方のポイント
全体的に緩い(ゆるい)肉質でないかも確認しないといけません。
肉の部分を触ったときに弾力がないものは避けましょう。
ロースであれば半分くらいを持った時に、形をキープできる程度の固さが必要です。
カナダ産のロースなど、割と脂が少なく全体的に柔らかいものは、
その中にある、一番固い個体を選ぶのがいいでしょう。
脂肪が多いと固く感じます。
そのままの形をキープしようとします。
(これは肉の固さではありません)